配当性向とは、会社がその年度の税引き後の最終利益のうち何%を配当金に回しているかを表す比率のことで、「利益をどの程度株主に還元しているか」の指標であるともいえます。「配当性向30%以上を目標に努力します」といったように経営目標として掲げている会社もありますが、日本の配当性向の平均は20%台で、平均が30%を超える欧米に比べると少ないといわれています。
配当性向(%)=1株当たり配当額÷1株当たり当期純利益×100
まだ若い成長企業などは、成長を続けていくための投資がたくさん必要なので、利益を配当に回す余裕はあまりなく、したがって投資家もそういった企業にはあまり配当を期待していないといえます。しかし、もはや投資も多く必要とせず、余った現金の使い道がはっきりしないような成熟企業などの場合は、配当性向を高めることが投資家から求められます。配当にも投資にも回されず残ったお金は、会社内部に積み立てられることになりますが、「会社の資産は株主のもの」という視点でみれば、積み立てられた内部のお金も株主のものといえます。しかし使い道も不明確なまま無駄に資金を貯め込んでいる会社に対しては、余剰資金を目当てに買収の標的とされることもあります。
大幅な減益や一時的な特別損失によってその年の配当性向の数値が極端に高くなったりするケースもありますので、配当利回りや配当性向を見る際は、過去と今後の業績、配当予想を参考にして数年単位での傾向を見て判断する必要があるといえるでしょう。