ジャスダック市場には一般的な「オークション方式」とは別に「マーケットメイク方式」という売買方式が存在し、ジャスダックに上場している一部の銘柄はこのマーケットメイク方式を導入していて、マーケットメイク銘柄(MM銘柄)と呼ばれます。一般のオークション方式では投資家同士がお互い売買の相手となって取引をしますが、マーケットメイク方式では、マーケットメイカー(証券会社)が投資家の相手となって取引に応じます。マーケットメイカーが売り・買い両方の気配値と株数を提示し、それに対して投資家は買い注文や売り注文を出すことになります。つまりマーケットメイカーが値付け業者となって仲介するわけです。
マーケットメイク方式は、売買高が少ない企業の株式でも、十分な流動性を確保することを目的としています。例えば、極端に流動性の少ない銘柄などは、買い注文を出しても売り注文がまったく存在せずなかなか売買が成立しないことがあります。しかしマーケットメイク方式なら常にマーケットメイカーが売り・買い両方の気配値を示しており、必ず相手となるマーケットメイカーが存在するので、注文を出している投資家がいなくても、売買の機会が存在することになります。
マーケットメイク方式はアメリカのナスダック市場などでも採用されている方式で、値幅制限がないのが特徴です。また、成行注文は出来ず、指値注文しかできないことや、1回の注文あたりの株数が最大100単元株までに制限されていることも特徴です。マーケットメイク方式では投資家の注文同士がぶつかるわけではないので、自分が出した買い注文の指値より安い値段がついても約定できない場合や、売り注文より高い値段がついても約定できない場合があります。したがって、マーケットメイク銘柄を注文したときには約定結果にも注意を払っておく必要があります。